リストカット
彩未は昼休みに陽菜を連れて、屋上に来ていた。誰もいない静かなところだった。
「陽菜」
「なーに?彩未」
ニコニコと幸せに笑う陽菜を彩未はウザイと思った。ベタベタくっつく陽菜に腹が立った。
「ウザイ……」
「えっ?」
「邪魔。ウザイんだよ!ベタベタ触んな!」
「えっ……」
ショックを受けたのか、陽菜はその場に崩れ落ちた。彩未はニヤッと笑った。
「死ねよ。お前なら出来るよな?栞奈を殺したお前なら!」
「栞奈は自殺だし、まだ……」
「うるせぇー!とっとと消えろ!」
陽菜は大きく泣き出した。彩未は呆れていた。
「早く消えて!」
彩未は陽菜をフェンス際まで押し付けた。陽菜は涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。
「やだ、彩未……」
「早く死ね!」
もう嫌気が刺したのか、彩未を陽菜の肩を押して突き落とした。
「彩未……」
彩未を呼ぶ陽菜の声は次第に小さくなって行った。彩未は急いでその場から逃げた。バレるとヤバいからだ。
階段を下りると、廊下には清香と陽太がニコニコしていた。そんな二人を見て、幸せそうに彩未は笑った。
それから三人で、それぞれのクラスへ戻った。
陽菜のことはすぐにニュースになったが、自殺と処理された。それを知った三人は楽しそうに笑った。
「大成功だね!」
清香の声に二人は頷く。三人は笑顔でハイタッチをした。