ひとつの恋
君がそばに


こうやって、あたしが見ているのを知ってるのか知らないのか。

あなたはあたしの前をなんかいも行ったり来たり…


前を通るたびに香る香水にさえ、意識してしまう。



教科書を読みながら何度も何度も。


この時間は好き。


授業に集中できないけど、どーでもいいよ。



その声がとなりで聞けたら…


その手を道でつなげたら…


あともう少し、はやく大人になれたら……



先生のなかにあたしは


はいれますか?



教科書に疲れて気晴らしに空をみても


考えるのは先生で


少しずつ好きになればなるほど、夢をみれなくなる。



「先生ー!さよならーっ!」


「はいはい、さよなら」



好き。


「なんだ。まだいたのか?下であいつら待ってるぞーっ?」



大好き。



「おいコラ、聞いてんの?」


「聞いてるよ、せんせー?」


ダイスキ。



ふたりだけの部屋なんだって思ったら

すこし悲しい。


見れない夢をみているみたいでなんだか悲しい。



「ちょ…っ、泣くなってっ!どうしたっ?」


「なんでもないよ…」



優しくしてほしいけど、好きになっちゃう。


「せんせー手、触らして…」


「へ?いいよ??」



はじめてせんせーのぬくもりを感じて、もっと泣いた。



困らせたね。



「せんせー?あたしこの手好きだな」


終わってしまう恋を前にして顔がみれないよ。


「ずっとさわってたいな…」



ぼやけてて机も見れないよ。



「うん。大丈夫。泣かなくていいんだ」



せんせー…?


大好きなセンセイ?



ダイスキ。




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