【短編】『枯れ葉が舞って』
あいつ…幼なじみで物心ついた頃からずっと一緒だった「秋」。 


秋に生まれたから「秋」。


こう言ってしまうと安易な名前に聞こえがちだ。


だが森や山に囲まれた田舎で育った俺や秋にとって秋はもっとも、自然が俺達に語りかけてくれる季節だった。 


木々の紅葉に感動し、まつぼっくりを拾って遊び、枯れ葉を踏みしめ冒険し、落ち葉のクッションで寝転んだり……。




秋が友達になってくれる季節だったのだ。



だから「秋」はこの名前を自慢に思っていたし、俺も大好きだった。




俺達は自然と共に遊び、学び、そして育った。 


いつまでも、こんな幸せが続くと信じていた。 


まだ疑うことさえ知らなかった……。
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