憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
素顔の彼と、もっとイイ仲に。
「それで上機嫌だったんだ」


夕食のカレーを掬いながら坂巻さんは納得して微笑んだ。
私は彼に向いて、そうなんです…と話し、スッキリしました…と胸を撫で下ろした。


「まさか、先輩にお礼を言われるとは思ってもみなかったから意外でした。
もっと早くに協力を願ってれば良かったんだと思って、大いに気が抜けた部分もありましたけど…」


頑なに一人でやらなくても良かったんですね…と言うと、彼は「当然だろ」と返してくる。


「向こうの言いなりになる必要なんてなかったんだよ。彼女は君をアテにしてばかりで、自分はのんびりとプライベートを楽しんでたんだから」


これからも今日の調子でいればいいんだ、とアドバイスを受け、そうですね…と頷いた。

昼の休憩時間のこともそうだけど、私は周りの目を気にし過ぎて、自分のことを自分が一番蔑ろにしてたのかもしれない。



「……ところでさ」


いつの間にか皿の中身を全て平らげてる彼は、テーブルの上に片肘を付き、ノロノロとカレーを食べる私を見つめる。

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