手をつなごう
「うんまぁ!!」

口にデッカイ豚を詰めこんで、言葉にならない声を出している。

「悠、汚い。」

オレのおかずを、指で摘まんだ悠に抗議すると

「だって、せっかく買いに来たのに何にも残ってないんだもんな。」と

逆に文句を言われた。

今日は珍しく、全て売れてしまった………。

最近、たまにこういうことがあるんだよなぁ。

まぁ~売れるからいいんだけど。

「森先生も、食べられますか?」

「うん。って言いたいんだけど……
まだ仕事があるから、止めとく。
旨いから残念だけど……。」と

まだ、名残惜しそうな表情を残して………帰って行った。

「残念だったね。」

オレの言葉に、一瞬びっくりした顔をして

「全然!!
洋介さんと二人で食べると美味しいもん。」って。

オレ、別に3人で食べれなくてって言ってないのになぁ~

隠せてるつもりの彩ちゃんが可愛い。

照れ隠しにいつもより

食べて、笑って、しゃべってる。

ご飯が終わって………デザートのアップルパイを摘まんでいたら……

「…………………いつ…………気づきました?…………。」って。

「う~ん。いつだったかなぁ~。」

「先生も………気づいてるのかなぁ??」

「悠??
それはないと思うよ。鈍そうだもん。
それに……オレが気づいたのって………
客観的に、彩ちゃんを見てたからだし。
悠に話しかけられて嬉しそうだったり、来る時間になるとソワソワしてたり。
何となく見てて……恋してるんだろうなって思っただけだから。」

「……………良かった…………。」って呟いた。

「気づいて欲しくないの?」

「分からないけど………。
今、恋してるような子を好きになったりしないと思う。
やらないといけないことをキチンと頑張らないと………。」

「そっか。確かになぁ~。
悠って………真面目そうだもんな。
じゃ、当分は………片思いと先生を頑張んなさい。
辛くなったら、いつでも泣きついていいからね。」

「はい、お兄ちゃん!!」

自分の気持ちを言葉に出来て………少し笑顔が自然になった。

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