手をつなごう
彩ちゃんへのプレゼントは、花屋のアルバイトのれいちゃんに相談して

ブリザードフラワー??だったかな?

ブルドーザーじゃあないし……………。

とにかく、今流行ってて……ほっといても綺麗に咲いたままで………

2・3年もつと言われた物にした。

ケースに入ってて飾りやすいし、何より花束みたいに大きくないから

持って帰るのに便利だ。

『プレゼント用のリボンは何色にする?』

花は、黄色とグリーンが基調になっているから…

彩ちゃんのイメージで、白色にしてもらった。

『アイボリーやチョコレート、後は……サテンやオーガンジーを使って
華やかにするね!』って言ってるが……

カタカナ言葉が多くて、チョコレート以外……サッパリ分からない。

結局………「うん………任せる。」としか言えなかった。

包みを受け取って店を出ると、会いたくない人物に出くわした。

「こんにちは。」

向こうは、何も思うところがないから……

全く自然だが、意識してるオレは

「あっ、こ、こんにちは。」と、とても不自然だ。

手にはうちのパンの袋が…

「この間食べて、嵌まっちゃいました。」と笑ってた。

…………勝手なイメージで、傲慢で嫌なヤツだと思っていたけど…

案外いいヤツ??

「今度、試作品も食べて意見聞かせてくれる?
彩ちゃん、惣菜パンはあまり食べてくれなくて……。
甘い物は良いんだけどね。」

袋の中身が、惣菜パンばかりだったから言ってみた。

「あぁ。是非、喜んで。
そう言えば、彩ちゃんって呼んでるんですね。
お付き合いされてるんですか?
すみません………この間は、ちょっかい出してしまって。
……………………………………。
今年は新人ばかりで、いけないと思いながらイライラしてて……
せっかく実習に来て、うちに就職を決めてくれたのに
優しく指導出来なかったから、ちょっと関わって仲良くなればって思って。
気を悪くされたら………すみませんでした。」

スッゴい良いヤツじゃん!!

彩ちゃんが好きになるの、分かるよ!!

「いやいやいや。
付き合ってないから大丈夫。
この年の差で噂になったら、彼女が可哀想だよ。
先生が、イライラしてたなぁ~って思うなら
彩ちゃんに優しくしてあげてよ。オレは全く関係ないから。
新人ちゃんには理解ある上司がいると、仕事がやり易いからね!
先生、頑張って。
オレも美味しいもの作って応援するから。」

オレの言葉に、さっきまでの品の良い笑顔とは違って

男のオレが見ても可愛いって思う笑顔で

「ありがとうございます。
是非また買いに行くんで、美味しいの作っておいてください。」って

園に帰って行った。

浮いた噂がないって言ってたけど……

彩ちゃん、アイツはライバルが多そうだよ。
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