恋のコーチは期間限定
1.大至急コーチを求む
 自分が負けず嫌いな性格なのをこれほどまでに呪ったことはない。

 見栄っ張りで負けず嫌いで甘え下手。
 本当、可愛くない女。

 だけど早急に見繕わなきゃいけない。

 短期間でテニスが上達できる方法と、誰もが羨む好青年の恋人を持つ幸せオーラを。

「ねぇ。望美の知り合いでテニス教えるの上手い人いない?」

 行き詰まった私、中原美希は妹の望美に助けを求めていた。

 望美は今年から花の女子大生。
 しかもテニスサークルに入ったなんて情報はずいぶん前にキャッチしていた。

 けれど7つも年下の妹に助けを乞うのは姉としてのプライドが邪魔をして……。
 結局は妹に一縷の望みをかけているのだから最初のプライドなんて必要なかったのだけれど。

『コーチ役ってこと?
 そうだなぁ。私がお近付きになりたい人とお姉ちゃんが仲良くなってくれて仲を取り持ってくれるならいい人がいるよ!』

 ………何、その回りくどい役回り。





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