恋のコーチは期間限定
「仕方ないな〜。
 ラリーの相手してあげるよ。」

 苦し紛れに上から目線で言えばクククッと笑われた。

「美希さんとなら気を遣って手加減しなくてもいい」なんて言葉で機嫌を直しちゃうんだから私なんてチョロいもんだよなぁ。

「じゃこれからも付き合い続行ってことでいいよね?」

「えっと……そうなるのかな。」

「そうでしょ?
 これからもよろしくね。美希さん。」

 ネット越しに手を出され、その手をおずおずと握った。

「……はい。よろしくお願いします。」

「やったね!」

 一瞬見えた満面の笑みの蒼が私の手を引いて抱きかかえるように抱き締めた。

「ちょ、ちょっと蒼!」

 抱き締められて蒼のにおいに包まれて、文句を言いつつも幸せを感じた。

 捻くれてて素直じゃなくて可愛くなれなくて。
 その上、年上で。

 なのに、蒼はそんなのもひっくるめて私を丸め込んでくれた。

 こんなことで蒼のこと好きだなぁって改めて思う私はやっぱり捻くれているんだと思う。







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