恋のコーチは期間限定
 寂しそうに微笑んでから小さく言った。

「本当は私にも恋人がいて、幸せですってオーラ全開なのが一番の当てつけになるんだけどな。」

 目に涙が滲んで、それを隠すように顔を俯かせた。
 だからこちらも気付かないフリをする。

 私にも……って二股の上、振られたってところか。

「もしかして……復讐って。」

「シロツメクサのこと?
 違うわよ。
 たまたま目に入ったのがシロツメクサなだけで復讐なんて陰険なことしないわ。」

「まぁ美希さんが言うように、別れた彼女が自分よりいい男と幸せそうにしてるのが一番の復讐かもしれないですけど。」

「そうよ。それよ。私がしたいのは。
 けど……。
 恋人なんてそうそう簡単に作れないわ。
 簡単に作れたら苦労しない。」

 美希さんならそんなことないと思う。
 けれどこの台詞は口にはしなかった。

 きっとその候補の中に俺はいない。

「だいたいなんでシロツメクサは『私を思って』『約束』なんて可愛いこと言っておいて『復讐』なんですか?」

 美希さんはもう一度、スマホを出して検索する。





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