恋のコーチは期間限定
「美希さんが思い出し赤面するってよっぽどですよ?
 私、美希さんってそっち方面は淡白でつまんない人生を送ってるなって思ってました。」

「放っておいてよ。」

 つまらない人生って、私と話しててそんなこと思ってたの!?
 本当、余計なお世話よ。

 私との恋愛話はどんな心持ちで聞いてたのか柚の神経を疑いたくなる。

「放っておきませんよ。
 せっかくそっち方面、開花したんですから。」

「開花って何よ。今も苦手だわ。」

 ため息を吐いて頬づえをついた。

 どうすればいいんだろう。

 だいたいこんなことがあってコーチを続けてもらうのなんて、彼の言うコーチの間は恋人……というよりセフレに合意しているようなものだ。

 元彼に振られて泣いたからって何よ。
 それを彼……蒼葉くんが知っているからってどうってことない。

 徐々に、会わなければいいんだという簡単な解決策が見えてきて心が軽くなる。

 けれど柚はそうは思っていないみたいだ。






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