腹黒上司が実は激甘だった件について。
坪内さんがお風呂に入っている間に、少しばかりキッチンへお邪魔する。
食材と調味料を確認して、かろうじてあったお米を明日の朝用に予約セットした。

一泊させてもらったお金は受け取ってもらえないだろうから、せめてものお礼。朝食くらいは作ろう。って言っても、食材は全部坪内さんちのだけど。

お風呂上がりの坪内さんは本当に色っぽくて、目のやり場に困った。イケメンオーラ全開で、キャーキャー言われるのがわかる気がする。
そんな人が、私を好きとか言う。
本当に意味がわからないよ。

「坪内さん、これ」
「何これ?」
「この前のランチ代です。一緒に住むならもらうって言ったじゃないですか。一泊だけど一緒に住んだから受け取ってください」

先日の中華料理屋さんの日替りランチ850円。きっちりお釣りのないように渡す。

「秋山、お前律儀すぎ。めっちゃ笑える」

お腹を抱えて笑いだした坪内さん。

「お前やっぱり面白いな」
「そこ笑うとこですか?」
「あはは!」
「ちょっともう、笑いすぎですよ」

私が困惑ぎみに言うと、坪内さんは目尻を下げたまま、「秋山、好きだよ」と言った。

はっ?
なんなの、この人。
胸を貫かれたような感覚がして気が遠くなった。
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