腹黒上司が実は激甘だった件について。
課長はいつもの優しい口調で言う。

「名前で呼ばれたい気もしたけど、でも名字で呼ばれるのも全然いいよね。だって好きな子がそれがいいと思って呼んでくれるんだから。」

ははあっ!
神様仏様飯田課長様!
なんて神々しい。
後光が射してるよ。
顔は断然坪内さんの方がイケメンだけど(課長ごめんね)、その考え方は坪内さんを超えるイケメン発言だよ。

なんて感動している私の横で坪内さんはチッと舌打ちをした。
おい、課長の前で態度悪いな。

「それに坪内くん、俺との契約、忘れてないよね?」

ニコリと微笑んだ課長に、坪内さんはばつの悪そうな顔をした。
この二人、何の契約を交わしているんだ?
ポカンとする私をよそに、坪内さんは指示を出す。

「わかってますよ。おい、秋山、さっきのやつ今日中にデータ抜き出しとけよ。」

ぶっきらぼうに名字で言われた。
それを見て課長はまたクスクスと笑った。




【END】
< 88 / 89 >

この作品をシェア

pagetop