ねぇ、泣かないでよ。
幼児パンツ
【水島 陽】






「好き。俺と付き合って」







高校2年生。

何も無い朝に、知りもしない男の子に告られた、また。
9月後半。文化祭のあの事件以降、こうやってからかってくる人が増えた。







「ごめん、聞こえなかった。」








そう言って、振りもせずその場を去る。
するとすぐに笑い声が聞こえてくる。








_お前も振られたか!

_幼児パンツに







『幼児パンツ』。そう呼ばれるようになったのはあの事件のせい。

あの事件とは、2週間程前の文化祭当日。後夜祭でクラスの女子何人かで出し物をする事になった。

その時、ダンス部の子案でダンスを踊る事になった。








「ワンダーのBABYでいいよね?」







ワンダーという女性グループ。私は何も知らなかったが、知ったかをして頷いた。

踊りはそれほど難しくなかった。ただ、







「衣装さ、皆で合わせようよ!」







衣装が合わなかった。

ミニスカにピッタリとしたTシャツ。






そして、本番で隣の子とぶつかり大袈裟にコケてしまった。
その時にまくれたスカートから、何も考えずに履いていたパンツ、、そう、キャラクターがハッキリと描かれた『幼児パンツ』が全生徒に公開されてしまった。







その日から、男子にからかわれる。




正直、横を通るのも、嫌だ。







黒歴史真っ最中。ですね。


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