ねぇ、泣かないでよ。
颯汰くん



次の日。学校を休んだ。




行けなかったんだ。どんなに『幼児パンツ』とからかわれようが、休むことはなかったのに。






両親は小3の時に離婚していて、一緒に家を出た母親は中2の時に男と逃げた。

今は祖母が面倒をみてくれている。





スナックを経営してる彼女は、お手伝いをする代わりに授業日などを出してくれている。











「寝ててもいいけど、夜は働いてもらうよ」


「、、はぃ」









ケータイにはクラスの友達が気を使ってくれるメールの受信を知らせる。







- どうしたの?

- 大丈夫?

- お大事にね。







『幼児パンツ』とからかわれても、友達は助けてくれる。

優しい同情で。







「ねぇ、泣かないでよ」






その言葉。久しぶりに聞いたな。

小学校の頃仲の良かった男の子、颯汰(そうた)くん。泣き虫だった私はよく彼にそう言われていた。







本当は、彼にかまって欲しくて泣くふりをした時もあった。






彼が小5の時に転校してしまって以来は噂も名前も聞かなくなった。














「泣かないでよ。、、か。」




颯汰くん。

でも、あの時の人とは違う。もっと小さくて、可愛くて、誰かを蹴ったりなんかしなかったもん。



って、昔の颯汰くんしか知らないからな。

< 4 / 55 >

この作品をシェア

pagetop