リトルガーデン~愛溢れる場所~
父は学生の時に仲間たちと海辺で家を借りて、自給自足の生活をしていた。

学生仲間にありがちなことで、みなイラストを描いたり、親のすねをかじったり、恋人を連れ込んだり、野菜を作ったり、家具を作ったりしていた。

どんなに時代が変わっても、そういう人は決していなくならないというたぐいのまじめな人々だった。

そこで父とわたしの実の母は知り合って、すぐに結婚してわたしが産まれた。

その中の一人が東京にある家業のレストランを継ぐことになって、
父はそれについて行ってその店を共同経営することにした。

店をやるのが父の夢だった。

しかし自由な暮らしと海を愛していたわたしの母は
すぐに東京生活に飽きてしまい、わたしがまだほとんど赤ん坊の頃に家を出てしまったという。

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