君が眠る時には

好き!


"今日、雪ちゃんのところに行ってもいいかな"


葵と喧嘩をして病院に行かなくなってから一週間後、遥さんからそんなにLINEがきた。


たぶん話されるのは葵のことだろう。


そう思って、"わかりました"と返信した。



伝えた時刻ぴったりにインターホンがなった。


「はい」


遥さんをリビングのソファに案内して座ってもらった。


家に人が訪ねてきたことがなかったので、何を出したらいいかなんてわからなくて、冷蔵庫に入っている麦茶をコップに移して机に置いた。


「話って、なんですか?」


早く終わらせたくて私から切り出した。


「雪ちゃんは、葵のことが嫌い?」


"雪には何も出来ないくせに!"


葵の怒鳴り声がよみがえる。


でも、その後に思い出すのは、葵の笑顔とか優しさとか。


「…ううん」


嫌いじゃない。
< 81 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop