はちみつドロップス

「天~! カッコ良かったっ」



口を開き掛けた皇楽よりも早く、皇楽の手から駆け出した朗楽が興奮気味に飛びつく。



まるで戦隊モノのヒーローでも見るかのような眼差しで天を見つめている。



「……ちっちゃい子の前で跳び蹴りもどうかと思うけどな」



駆け出した朗楽を追うように、ゆっくりと歩み寄った皇楽はクスクスと笑みを零しながら呟いた。



「うるさいっ」



そんなやり取りの中で完全に忘れられ蚊帳の外となった涼希は、



「…………」



まだ状況が掴めていないような、ぼんやりとした表情で三人を見つめていた。



容赦ない跳び蹴り。

容赦ない怒声。



たったさっきまで目の前で行われた一連の出来事が頭の中で繰り返される。



そして涼希は思った。


自分に跳び蹴りは愚か、罵った挙げ句に説教をかます女の子がかつて居ただろうか……。



モチロンそんな娘は居やしない。




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