はちみつドロップス
「なんでそんなこと聞くの？」



ワケのわからない質問攻めにやや不機嫌そうに唇を尖らせ始めた天に、



「高宮がわざわざカフェ バタフライでバイトしてる理由。教えてよ」


「不本意ながら教育係してやんだからそれくらい言えよ」



回りくどいのは抜きで単刀直入に理由を尋ねてみる。



「理由？ 別に特別な理由はないけど」


天曰く。



バイトを探していた天は時給の良い喫茶店の噂を聞き、とりあえず店長に話を聞いてみることにしたらしい。



「そしたら、ウェイトレスじゃなくてウェイターとしてなら是非働いてって」




結論から言えば、紛れもなく単なるバイト。



そして、店長の妄想ワールドは単なるオッサンの妄想だったわけだ。




仮にも家庭の事情的なものだったら同情の余地もあったものの。



完全に肩透かしをくらって皇楽はあからさまな舌打ちをしながら視線を天から外した。



ただ、



「他に理由は無いの？」



「えっ？ 他？」



一瞬。
自分がした質問に天の目が泳いだのを慶斗は見逃さなかった。



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