はちみつドロップス


「ずっと……見てる、から」


嗚咽混じりの聖梨の声で雄楽は目を覚ませた。


あれから半年。
聖梨のこの言葉に嘘偽りがないことを雄楽は何度も実感していた。


サッカー部の試合を同じ高校の制服の群れに紛れていつも遠巻きに見つめる視線。


本人はこっそりと身を隠しているつもりでもすぐにわかってしまう。


頭一つ飛び出した長いけど猫背のシルエット。


見間違うワケがなかった。


自分が嘘で突き放すことしか出来なかった好きで好きで仕方ない女の子だ。


……今日も聖梨は来てくれるだろうか。


冷たい水で顔を洗いながら雄楽は今日の練習試合のことを考えていた。


あれ以来聖梨とは言葉を交わしていない。


試合を影から応援してくれている聖梨に応えるようにがむしゃらに部活に打ち込んできた。


そうしないと聖梨はもう自分を見てくれない気がして。


必死にサッカーを聖梨のいう優先順位の一番上に持ってきていた。


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