はちみつドロップス

次の日。



欠伸混じりに教室に足を踏み入れた天の目に一番に飛び込んできたのは、



「高原くん。昨日はありがとう」



皇楽に何やら可愛らしくラッピングされた袋を差し出す絵那の姿だった。



真っ直ぐに自分の席へと伸ばしていた足を反射的に止める。



昨日の買い物デートに引き続いて良い雰囲気の二人に近付くのを体が拒否していた。



「おはよー高宮」



それを知ってか知らずか。
二人の傍らに居た慶斗が爽やかに笑いながら入り口の天に声をかけた。



「あっ、天おはよー」



慶斗の声で天に気付いた皇楽と絵那が同時にそちらを振り向く。



目の合った二人にいつも通りのヘラヘラとした笑顔で歩み寄った天は、



「おはよ。なになに? 良い匂いがするっ」



絵那の手から皇楽の手に渡ろうとしている袋にワザとらしく鼻を近付けてみせた。



「ホント食い意地張ってんな。おまえ」


「ちょっと匂っただけじゃん! バカ!」


「はいはい」




顔を合わせるなりエネルギーの無駄遣いを始めようとする天を、絵那の手前ということもあってか皇楽が軽くあしらう。



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