はちみつドロップス

数学の授業終了後。



「アンタ何の恨みがあってわたしに嫌がらせすんのっ?」



皇楽の隣のハニーブラウン高宮 天(てん)は、立ち上がり猛抗議を始める。



「っせぇな~。さっさと職員室行けよ巨女っ」



女子にしては高めの身長一七〇センチの天を斜めに見上げながら、皇楽は如何にも面倒くさいそうにあしらう。



「巨女って言うな! バカッ!!」


「はいはい……」



ムキになって言い返す天を、皇楽はわかりやすいくらいあからさまに鼻で笑って馬鹿にする。



もちろん天はその態度が気に入らないわけで……。



「~~!! はいはいじゃないっ! アンタねぇ~!」



何か言い返してやろうと口をパクパクさせた後、必死に言うべき言葉を探している。



そんな天など目もくれず皇楽は知らん顔で視線を動かした。



そして思わずぎょっとする……。


斜め前の絵那が可愛らしい笑顔を湛えてこちらを見ているではないか。





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