はちみつドロップス
そして、



「…………」



授業を抜け出してまで、皇楽が自分を探しに来てくれたことを喜んでいた天は本当の理由を知り、




さっきまで感じていた喜びが打ち消されてしまうような複雑な表情。




まるで肩透かしを食らったかのような気持ち。


完全にただの当て馬だ。



決して皇楽の心に踏み込むことの出来ない天に、込み上げるもどかしさが再び全身を駆け巡る。



これ以上二人の姿を見ていられない。

そっと身を翻した天を待っていたのは、



「……大丈夫？」



強張った天の耳元で小さく囁く慶斗の作り笑顔だった。



「……悔しいよねぇ。相手が美少女の親友とか」



今まで目を逸らして考えないようにしていた事実。



好きな気持ちだけでは負けてないつもりなのに決して勝てない相手……。



悔しさで涙腺が緩んでしまう自分が情けない。



「何言ってんの？ わたしは高原なんて好きじゃないって」



出来るだけ自然に笑顔を作って作り笑顔の慶斗を交わす。



そそくさと自分の机に向かった天と和やかに話す皇楽と絵那を、慶斗はただ黙って見据えていた。



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