彼女との残された時間
first
四月。花曇り。
 
高校2年生になった。
 
クラス替えをしたところで、いきなり友達ができるはずもなく。
 

幸い窓側の席だったので、休み時間は窓から見える桜の木々をぼんやりと眺めている。
 
今は昼休みなので、日の温度を感じながら、いつも通りこうして眺めている訳だ。
 

何の変化もない平凡な日々が当たり前のように過ぎていく。
 
友達と呼べる仲の人は居ない。かと言って、苛められている訳でもない。僕は、いわゆる『陰キャ』の分類であろう。空気のように、下手したら空気よりも存在感がないかもしれない程だ。

 
突然、すぐそばで、ガタン!という音が響いた。

その音の方へ視線を向けると、どうやら、僕の前の座席の人が席を空けていたので、代わりにどこからかやって来た他の女子が勢いよくそこに座ったようだった。
 
「やっほー、何を見てるのー?」
 

彼女は誰かに話があったらしい。

僕はまた外に視線を戻した。
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