キス逃げ ―衛side―
キス逃げ
「衛《まもる》先輩」


「ん?」


―――チュッ


「へ?!?!」


一瞬、何が起きたか分からずポカンとしている視線の先には、嬉しそうな顔で走り去る女の子がいた。



またか……


そう、今のは


【キス逃げ】


最近、どうやら学校で流行ってる遊びらしい。

スカート捲りやブラはずしと同じ類の遊びで、好きな人にキスをして逃げるって遊びなのだ。


まぁ、キスって言うより肩がぶつかった位にしか感じない。

まるで、サッカーボールとキスしている感覚。


そんなのに、何も感じるハズが無い訳で……


「なにボーっとしてんのよ」

なんて考えていた矢先に、雷の様な怒鳴り声と後頭部に激痛が走った。


――――バシッ


「…ってぇ~~な、紗柚《さゆ》何すんだよ」

「高2にもなって、ボーっとしてるあんたが悪いんでしょ」


立ち止まり頭を抱えこんでいると、その隣をスタスタ歩き帰って行く紗柚。


< 1 / 12 >

この作品をシェア

pagetop