黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
私達がアルビンのプリンス……サーバルの王室で、この国が直面している大変な状況を説明すると、途端にサーバルの顔色はまた悪くなり、小刻みにガタガタと震え出した。


「まさか、こんなにすぐ、事が起こるとは……」


そんなサーバルの肩はとっても小さく見えて……

まるで、愛しい弟……小さな小さな、健のものみたいで。

私は思わず、その肩をぎゅっと抱きしめた。


「大丈夫。私達が……何とかする。あなたのことも、この国のことも、守ってみせるから」

「うらら……」


サーバルの澄んだ瞳は、潤んで揺れた。


「昔から……小さい頃からそうだったね。うららはいつも、弱い僕を守ってくれて、助けてくれて。僕は甘えてばかりだった」


そして……私の腕の中のサーバルの震えは止まった。


「でも……甘えてばかりではいけない。僕も戦わないと……だって、僕はこの国、アルビンのプリンスなんだから」

「いいえ。お願い……無理しないで」


私はぎゅっと目を瞑り、首を横に振った。


「体が辛い時は……甘えていいの。この国のことは私と……レオパードに任せていいから。必ず、ウルフの手からこの国も、あなたも守ってみせるから。だから……あなたは無理しないで、安静にしていて」

「うらら……」


サーバルは純粋な子供のような……まるで健のような瞳を私に向けた。


「お願い……」


私のサーバルに……いや、健に向けたお願いに、彼は何も言うことができなかった。
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