強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
ちらっと東郷さんを盗み見ると…

私の視線に気付いたらしく目がばっちり合ってしまった。

ぎょっとして驚きのあまり慌てふためく。

見てるのバレたっ?!


「何?」

「いえっ!なんでもないんです……はい。ありません……」


バババッと手を大きく振り首を横に振って大袈裟な態度を示してしまう。


「ぷっ…。緊張してんの?」

「え?」


ちらっと私の様子を伺いながら運転をする東郷さん。

私の胸のうち、気付かれてる?


「…そりゃー…しますよ。だって知り合いなんですから…。それに理事長さんですし…」


もにょもにょと小さく喋る私は顔を上げることすら難しくなってきている。


「そんな緊張しなくていい。別になんともないから。ってか理事長なのはただの役職であるに変わりないから気にすることないよ?」

「…そんなこと言われましてもー」


無理なものは無理。

生憎、私にはそんな気にするなと言われてじゃあ気にしません…なんていう図々しい神経を持ち合わせてるわけでもない。


しかも相手は男の人。

性別のこと出すのはいけないかもしれないけど、こればっかりは…。

いままでお母さんと二人暮しだったせいであまり男の人に免疫がない私。

だから余計に色々と気にしすぎて緊張してしまう。
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