子爵は新妻を独り占めしたい
「サーヤ、クレア、どこにいるのー?」

リビングからエミリーが顔を出した。

自分たちが玄関にいることに気づくと、
「あっ、そこにいたの?

早くお茶にしましょうよ」

エミリーが声をかけてきた。

「はい、今行きます」

「すぐに向かいます」

同時に返事をした紗綾とクレアに、エミリーはフフッと笑った。

「おい、まだか?」

エリックも一緒になって顔を出してきた。

「はいはい、行きますよ」

そう言ってリビングへと向かったクレアの後を追うように、紗綾も一緒にリビングへと歩き出した。

(私が妻になるって言うことは、家族になるって言うことでもあるんだな)

リビングへと向かいながら、紗綾は心の中で呟いた。
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