国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「その男の身元を調べて消しておけ」

「御意!」

王に謀反を働いた代償は大きい。レイを刺した男も理由はどうあれ死刑は覚悟していただろう。ならば望む通りに処罰するだけだ。男には家族もいたかもしれない。しかし、慮っていては見せしめにはならない。

(くそ……)

刺された腹部の傷はそう深くない……はずだ。しかし、止血のためにあてがっている布はすでに真っ赤に染まっていた。

「ミリアン……」

城へ戻る一心でなぜかレイは彼女の名前を小さく口にしていた。誰の耳にも留まることなく、そしてレイはもう一度彼女の名前を呼んだ――。
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