国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ミリアンは大通りを駆け抜け、無我夢中で息を乱れた息を整えることなく懸命に走った。胸が苦しい。なんどもつまずいて転びそうになった。

――お前とは、またいずれ会うことになるだろうな。

その言葉が鼓膜に染み込んで、鮮明に頭の中で響いている。何かに身体を絡め取られていくような感覚が襲ってくるようで、怖くて怖くてしかたがなかった。

(な、なんなの……あの人)

教会まであと少しというところでミリアンの体力が尽き、大きな木に手をついて留まった。ブーツの中で足の指をギュッと踏みしめる。大きく弾む胸に手をあてがい、なんども唾を飲み込んで荒ぶる呼吸をなだめた。胸にあてがった手で服の下に隠してあるロザリオをまさぐる。

この存在を感じることで気持ちを落ち着かせようとした。こんな混乱した姿で帰れば、ロパは何があったのだと心配してしまう。しばらく外の空気で頭を冷やしながら、ミリアンはひとまず落ち着きを取り戻すと、子どもたちを起こさないように教会へ戻った。
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