極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「神崎コーポレーション、社内全業務フローのシステム化――契約が締結されれば、今期の売上の半分を占めることになるだろう。そんな大規模な案件をおいそれと経験の浅い若手に任せるわけには」

どうやらそれが、この会議室の面々を悩ませている最大の議題らしかった。

逢沢さんが私を庇うように口を開く。

「要はプロジェクトの担当メンバーに咲島を入れればいいというだけでしょう。私が指揮をして、彼女には補佐を中心に担当してもらいます」

この発言を受けて身を乗り出したのは、一課の課長だ。

「そもそも、二課にこの案件を引き受ける余力があるのか? この案件独自の体制を構築すべきだ」

くくく、と隣に座っていた三課の課長が笑う。

「君は売上で二課に負けたくないだけだろう」

一課の課長がギッと睨みをきかす。

どうやら、誰に担当を任せるかだけでなく、どの課が利益を享受するかでも揉めているみたいだ。
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