はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
結局、和解なんかできてない。



前部長を安心させるために嘘の笑顔を振り撒く部長は、器用な大人だと思う。



私には無理…だけど、たまにはこういうのも悪くない。



私は、ぎこちないかもしれない笑顔で手を振った。



彼女には、悔いを残したままで卒業を迎えて欲しくないもの…。



袖に下がった私は、部長に話しかけた。



「良いんですか?

今度の新聞に、仲直りしたって書かれちゃいますよ?」



「構わないわ。

私は桐生さんと喧嘩したいわけじゃないの、ただ…ライバルでいて欲しいだけ。

他の子なんかにヘコまされたら、許さないから。」



部長はそう言うと、笑った。



それを聞いた私は、部長に対して心からの笑顔を向けた。



彼女も、決して器用なんかじゃない…。



だから、私も写真部が構えるカメラに向かって笑えたんだと思う。



深夏が、インタビューしようと駆け寄るのが見えた。









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