はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
朱火組の応援合戦の直前、気になってることを団長に聞いた。



「確か、勝利を祈念して板割りするんですよね?

まさか、私も…。」



やるんだろうか?



「ああ、簡単に割れるように切れ込み入れてあるから。」



それで、大丈夫なんだろうか?



ホントに私でも割れるか確認しようとしたら、時間になった。



「行くぞ!!」



「押忍!!」
「おっす!」



あぁ、もう返事からダメだ…。



私の甲高い声が、周りから浮いてるし。



「桐生ちゃん、絶対に下だけ向くな。」



澤弥先輩が、そっとアドバイスしてくれた。



応援団が下向いてたら、サマにならないもんね。



いきなりの応援団入りで最初はテンパってたけど、中盤あたりから周りを見る余裕が出てきた。



アンジェ先輩が、女子から



「カッコいい…。」



って絶賛されるのに対し、私の評価は



「カワイー!」



男子が笑いながら、からかう。



応援合戦も得点になるらしいけど、これじゃ点数付かないな…。



勝利を祈念しての板割りは、空手部が多いから面白いように割れていく。



板を割れなかった澤弥先輩は、団長から気合いのビンタを喰らってた。



私の番になり、板に思いっきりパンチする。



じぃぃぃん…!!



スッゴく痛いのに、板にはヒビも入らない。



すると、他のチームの応援席から



「可哀想だから、ビンタは免除しろー!!」



という言葉と、手拍子が鳴った。



痛い手をさすっていると、両側から板を支えてた先輩たちが機転をきかせて力を加える。



バキッ!!



「空手部ーっ、よくやった!!」



板を割ってくれた先輩たちに対し、割れんばかりの拍手が響いた。



退場する時、派手に転んでしまったから、また足を引っ張ったようだ…。









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