はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜サイド

卒業式の翌日、泣き過ぎで痛む頭を押さえつつ、屋上につながる階段で座り込んでいた。



1人でいると坂下のことを思い出して感傷に浸ってしまうのか、涙が止まらない。



昨日も、夜中まで泣いたというのに…。



我ながら、どこまで泣けば気が済むのかと思う。



「あー、やっぱりここに居たか。

…って、うわっ!酷い顔だなぁ。」



私の腫れている目を見て、そう言うのは蒼だ。



悪かったわね、酷い顔で。



自分でも気にしてるんだから、あんまり言わないでよね…。



「桐生、卒業式サボって坂下先生の葬儀に行ったんだって?」



また、その話か…。



今日は登校してすぐに、校長室に呼び出されるところから始まって…。



教師と顔を合わせる度に同じこと言われてるんだから、いい加減ウンザリだ。



「鬼マサ、アンタも説教する気?」



私はため息をつきながら、言い放った。



「いや。

坂下先生とお別れできたかな…って、気になってな。」



そんなこと聞かれるとは思わなかったので、少し面喰らった。



「あ、うん。」



「そうか、それなら良かった。

通夜じゃ、騒ぎに巻き込まれて大変だったもんな…。」



蒼は私の頭を、ガシガシ撫でる。



蒼の大きな手は、心地良いけど…。



「若菜ちゃん、ツライでちゅねー。」



なんて小さい子扱いされたら、無性に腹立たしくなった。



「鬼マサ、アンタ私に用があったんじゃないの?」



「じゃあ、泣き止んだとこで頼みがあるんだけど…。

桐生が持ってる合鍵で、部室開けてくれ。」



…はい?



涙は、いつの間にか止まっていた。








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