だから何ですか?






「とにかく・・・なんか言い訳とか無いのかよ?」



キッチン含めの20畳ほどのリビングだろうか?


そこにソファとそれに合わせた一人掛け用の椅子が2つ。


一応客として促されたのはソファの真ん中で、亜豆は向かい合わせに一人掛けの椅子で平然とお茶飲んでいるし。


海音は俺の左斜め前の椅子でこの場を面白おかしく弄ろうと見守っている。


普通だったら鉢合わせした段階から何かしら慌てふためいての愛憎劇があってもいいはずなのに。


なんでこんな平和的にローテーブル囲んでお茶飲んでる場面なんだ?


深刻な面持ちでここにあるのは俺ばかりで、核心に触れた言葉を発した今でも目の前の亜豆はさらりとした感じにお茶のカップを口に運ぶ。


そんな姿にただもどかしい感覚で目を細めた瞬間に、横でククッと笑った海音が先に、



「言い訳か・・・。ん~、まったくだな」


「本気で言ってるのか?」


「本気も本気。だって、言い訳って自分に罪悪の意識があってする物じゃない?俺別にそんな意識今ないし、凛生は?」



へラッと緊張感もなく笑って煙草を咥え始めた海音が、自分からバトンをパスするように亜豆に振って。


と、いうか、その親し気な名前呼びもいちいちイラッとする要因だというのに。


心の内で舌打ちを響かせつつ、そのバトンは流れ的にありがたいと視線を亜豆に。


ここまで本当にその胸の内が分からなかった。


まったく動じない姿の裏には何を思っているのか。


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