だから何ですか?




いつもであるなら先に居るのは自分の方で、それが当たり前であったから今日もそうなのだろうと疑わなかった。


その当たり前の中で来るか来ないかモヤモヤと待つのだろうと。


なのに初っ端が大番狂わせで、待つ所要時間0分のご本人待機で対面した時間。


あまりに衝撃だったせいで上手く頭が回らず、それでもそろそろと動きだしてその身を亜豆の隣に寄せる。


変に緊張感を覚えながら身を置いて、持っていた煙草を口に咥えたその頃合い。



「火、差し上げましょうか、」



そんな声に反応し振り向けば、すでに身を寄せ近づく姿に戸惑いながらも身を屈めて煙草から煙草への火を移す。


ああ、この絶妙な距離感がもどかしくも嫌いじゃない。


ジワリと焼き跡がつきひと立ち煙が上るのを確認しつつ、至近距離にある亜豆の無の表情に心惹かれる。


恋心なんて物を抱く前には『愛想もない』と思っていた癖に、内側を知っているせいか今はその無表情に否定的な感情はない。


それに・・・いつもの亜豆だ。


拍子抜けするほどいつも通りの感覚。


目を逸らすでも過剰に身を離すでもない、むしろ自ら身を寄せ親しい感じに煙草を合わせて。



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