神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
それから、わだかまりをもっていても、自分たちの行く末に尽力してくれた青年にも、心からの礼を述べる。

「和彰や犬貴たちが、大変お世話になりました。本当に、ありがとうございます」
「……いいえ、こちらこそ」

ひと呼吸置いて、一葉は立ち上がった。

「悲愴な決意で“陽ノ元”に行くのではなく、ただの色惚けなんだと聞かされて、心底ホッとしました」

咲耶たちに背を向け、肩ごしに皮肉を残すことを忘れずに。




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