彼氏の上手なつくりか譚





放課後。


チャイムが鳴ってから10秒も経たないうちに、真奈が私のところにやってきた。


「理沙の彼氏候補、さっきの授業中に選んでみたんだけど、今日この後暇? 暇だったらちょっと見に行ってみない?」


さすが恋愛エキスパート。仕事が早い。


でも、


「いくらなんでも早すぎない?」


「何言ってんの! むしろ遅いくらいだよ。それに、青春は私たちを律儀に待ってはくれないの。さあ、ほら、行くよ!」


半ば強引。でも、引っ張ってくれるその手からは確かな温もりが伝わってきて。


私のことを自分のこと以上に悩んでくれる真奈のような人が私は好きなのかもしれない。


いや、何ならお互いフリーだし、真奈と付き合っちゃえばいいんじゃないの? その方が早いんじゃないの?


そんなことを思いながら、私はまた一歩、真奈に肩を借りて前に進んだ。




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