彼氏の上手なつくりか譚
33>>一人の時間を有効に使うべし。





いつもの学校が、いつもと違う色に染まっている。


微かに、いつもの雰囲気を残しながらも、全く違う空間。


その中を漂う砂糖とシナモンの香り、パチパチと線香花火のようになる油の音。


「チュロス、できたよー!」


その一言で、周りは作業の手を止めて、狂喜乱舞しながら、油の周りを囲んだ。


お目当ては、試食だ。


小さく切り分けられたチュロスに、爪楊枝を刺し、紙皿に乗せて配られる。


それは、隅っ子の私のところにも届いて、口に運ぶ。


何てことはない。ただの小さいドーナツだ。


それなのに、岡本さんときたら、「やっぱチュロス美味しい!」と普段とは違う、お団子ヘアーを揺らしながら、はしゃいでいる。


岡本さんには、滑稽という言葉がよく似合う。




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