私を救ってくれたのは君でした。
私は鶴谷くんに人気のない教室へ連れてこられた。

「俺、いつ死ぬかわからないんだ」

「えっ……」

鶴谷廉、学校一のグレヤンキー。
授業もサボって屋上で寝ている。
そんな不真面目な不良総長な、ハズなのに…この人は私の自殺を止めてくれた。
きっと、この人は私のために自殺を止めたのではないだろう。ね、今みたいな嘘とか。

「ちょ、嘘はやめてよ」

半笑いで会話を返す。

「嘘じゃない。俺は、病名不明でいつ死んでもおかしくない病気なんだ。」

「!」

「死ぬ間際になって、わかる。そんな簡単に死のうなんて思うんじゃねぇ!天宮、お前は生きろ!」

「鶴谷くんにそんなこという権利なんてないわ。私は、自殺志願者よ?」

「だからなおさらだ!はやまるんじゃねぇ!生きることを諦めんな!」

「鶴谷くんに言われたくないわ!私はね、ただ死にたいってわけじゃないの!いやなことがあったから死にたくなったの!毎日生きると、必ずいやなことがあるもの、死んで楽になりたいのっ!」

「その考えは間違ってる……!いやなこともある、けど必ずいいこともあるだろ!」

「ふんっ!今回はやめるわ、けど次は絶対飛び降りるから!」

そう言い残して天宮雪希は教室を出ていった。
ひとり教室に残された廉は、ひとこといった。

「頼む、死なないでくれ……」
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