副社長は花嫁教育にご執心


「籍……いつ、いれますか?」

「そうだな……とりあえず明日時間が空いたら、婚姻届を取りに行ってくる」

「わかりました。お願いします」

はにかんでうなずいた私の頭をポンポンと撫で、灯也さんは部屋をぐるりと見渡した。

「籍入れて、まつりの引っ越しの準備が整い次第、一緒に暮らそう。このマンションで広さは足りそうか?」

「足りるどころか広すぎるくらいです。引っ越しと言っても家具や家電は弟が使うから置いていきますし、荷物はそんなにないからすぐにでも準備できます」

「了解。明日、合鍵を渡す。いつでもまつりのタイミングで来れるように」

こくんと頷いて微笑めば、大きな手に頭を引き寄せられてぴたりと彼の胸に押し付けられた。

布団の中でつながった手からもぬくもりが伝わり、お互いの体温がだんだんと一緒になっていく。

それから少しずつ眠気が押し寄せて、小さく欠伸を漏らした私は、これからの結婚生活にたくさんの幸せを期待をしながら、そのまま自然と眠りに落ちた。


< 38 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop