副社長は花嫁教育にご執心


支配人との間にある、埋まるわけがない格差を心配する私に、彼は涼やかな瞳をまっすぐに向けてこう言った。

「俺は、お前を愛する自信がある。そして、お前に俺を愛させる自信もある」

自信たっぷりな発言に、不覚にも胸が大きく跳ねた。

な、な、なんという傲慢っぷり……。この麗しい容姿に、副社長というスペックで、きっと今まで手に入らない女はいなかったって感じなんだろう。と納得したからといって、腹が立たないわけもない。

「そんなこと言われても、“それなら結婚します!”だなんて喜びませんからね? 結婚となると、家族にだって相談しなきゃならないし」

「じゃあ今日か明日にでも相談しろ。ちなみに俺の方は前々から結婚をせかされているから、今すぐ籍を入れても問題ない」

ふうん……。大企業の御曹司なのに、意外とあっさりしてるんだな。もっとこう、良家のお嬢様との縁談がいくつもきたりして、その中からさらに条件のいい人を選ぶようなイメージだったけど。

いくつも疑問はあるし、今すぐに判断できる案件でもない。だけど、ここでいくら反論しても、平行線をたどる気がする……。


< 9 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop