異世界で学校の王子様が奴隷になっていました
.

「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」



黒服を着た人が綺麗な仕草で頭を下げている。この人を一言で表すなら紳士

という言葉がふさわしいだろう。


私はそれをどこか冷めた目で見ていた












私の名前はフィリナ・フォン・レイセント



そしてここは一般的に異世界と呼ばれるとこだ。とは言っても私の推測だが。


魔物もいるし魔法もある。さらには獣人や人魚、エルフといった種族が人間

と共存している。



そんな世界の国々の1つ、ファーレストという国の公爵令嬢として私は生ま

れた。


前世は地球にある日本という国のごく普通の高校生だ。


勉強に部活、それなりに充実した日々を送っていた。恋も人並みにしていた。

いや、正確には「している」だろうか。彼――優斗先輩のことは今もなお忘

れられないしこれからも無理だろう。


しかしこの世界に来てしまっては会えるわけもないし、そもそも彼はいわば

その学校の王子様的な位置づけにいる人だった。


平々凡々な位置づけの私では雲の上の存在、という訳だ。


だからといって諦めきれるはずもなく日々悶々とすごしていた所、呆気なく

死んでしまい目覚めたらこの世界だったのだ。




え?死因?

そんな物騒こと聞かないでくれ、思い出したくもない。





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