海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
隣の席にやってきた海くん



月曜日の朝、いつも通り登校し教室に入ると、席替えをしていないのにわたしの隣の席には海くんが座っていた。


あれ……?

わたしの席ってここで間違いない……よね?


でも、わたしの隣の席は海くんではなくて田中くんのはずなんだけど……。


席につかずに少し戸惑っていると、こちらを見た海くんとパチリと目が合った。


そんなふうに海くんがわたしを見て、わたしが海くんを見てしっかりと目線が合わさるのはこのクラスになって年を明けてしまったというのに初めてのことで内心びっくりする。


海くんはなにも言わない。

なにか言いたげな雰囲気を感じる気もする。


「席、変わったの?」


わたしがそう話しかけると、ようやく彼はゆっくりと口を開いた。


「...が...したみたいで、...しやすいように...」


「え、ごめんよく聞こえない...」


耳を傾けてワンモアプリーズの仕草をしてみる。


海くんはあまり大きな声を出すタイプではなく、授業中の発表でも必要最低限の音量しか出していない印象。


だけど、こうしてすぐ隣にいるのにこんなに小さい声だなんて、もしかして朝だから声が出にくいのかな。

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