【完】死が二人を分かつまで
嘘を信じて、幸せになって



初めて顔を合わせたのは、私が7歳、彼が11歳の頃だった。


その出会いは決して純粋な出会いではなく、未来のために互いの両親に仕組まれたものだった。


そう、つまりは政略結婚を考えての出会いだったのだ。


『哀華、御坂來斗さんだ。良くするように』


幼すぎた私は、結婚の意義を知らなかった。


お嫁さんなのはわかってたけど、私が彼に嫁入りすることで何が壊れ、誰が得するとか、何もわかってなくて。


ただ、彼に冷たくされるのが嫌だった。


遊んでほしいだけなのに、彼は私を無視してた。


『ーあれ?この女の子、誰?』


大体のことを理解した、7年後の14歳のとき。


彼の幼なじみであるという、和菓子の桜風堂の跡継ぎ、有栖川御門と顔を合わせた。


珍しく、当時18だった來斗さんが紹介してくれたのだ。


『俺の嫁(仮)』


『ああ。政略か?』


『そうだよ。なんか、大事なんだとさ』


この時期、荒れるに荒れてた來斗さん。


私は父に逆らう勇気が持てず、ただ、父の言うままに來斗さんのそばに居た。


ある日、御門さんからもうひとり知り合いのある男性の会社で働いて、自身の実力を試したいと來斗さんが言っていたと私は聞いた。


恐らく、そんなことになれば……彼の父親は反対する。


だから。


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