【完】キミさえいれば、なにもいらない。
私服姿だったから一瞬分からなかったけど、やっぱり彼の容姿は人一倍目を引く。


私服だと、ますますイケメンに見えるのは気のせいかな。


周りにいる女の子たちは、知り合いなのかな。それとも知らない人?


声をかけたいと思いながらも、その人たちがいる手前、なかなか話しかけることができない。


どうしよう……。


困った顔でその場に立ち尽くす私。


すると次の瞬間、彼方くんがそんな私の存在に気が付いたらしく、手を振りながら大声で名前を呼んだ。


「雪菜っ!」


すぐさま女の子たちの輪を抜け出して、私の元へと駆け寄ってくる彼。


「よかった。ちゃんと会えた」


その表情は、なんだかとても嬉しそう。


でも、私も無事に会うことができて、内心ホッとしていた。


「お、お待たせ。ごめんね、待った?」



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