【完】キミさえいれば、なにもいらない。
璃子が悩ましげな顔でスプーンを片手に私をじっと見つめる。
「友達ねぇ……」
「あ、そういえば、ハンカチってどんなのもらったの?」
「えっ」
聞かれてふと、先ほど一ノ瀬くんからもらったハンカチのことを思い出す。
そういえば私さっき、女の子たちの視線が怖くて、ササッとカーディガンのポケットにそれをしまったんだっけ。
「えーっと、まだ開けてないんだけど、これ」
私が取り出すと、キラキラと目を輝かせながら身を乗り出してくる璃子。
「見せて見せて~!」
袋を開けてみたら、中にはとても可愛らしいデザインのベビーピンク色のハンカチが一枚入っていた。
しかもこれ、“スウィートベリー“とかいう、最近女子に人気のブランドのものだ。