あやかし食堂の思い出料理帖〜過去に戻れる噂の老舗『白露庵』〜
鏡華は黙ってひかりの後ろを歩いた。
どうしてひかりはあたしと一緒にいる時、こんなに嬉しそうに笑っているのだろう。
会話の弾まない自分と一緒にいたって、楽しいはずがないのに。
跳ねるように前へ進むひかりの姿を見て、鏡華はギリッと歯を食いしばった。
――何も知らないくせに。
あたしが卑怯な手を使って怪我をさせてまで、どうしても一位を奪いたいって思っていることなんて、あんたは絶対に分からないくせに。