みだらな天使
ルール

「学校、行ってないの?」



朔の家に転がり込んでから、一週間が経った。





「…なんで?」




「なんでって、一日中家の中にいてメシ作ってるじゃん。」




それはあんたがそうさせてるんでしょ、と言いたいのをぐっと堪える。





「今、夏休みだけど。」



「ああ、そっか。いやー、社会人になるとダメだな〜。長期の休みがあることなんて、忘れちゃうな。」




あれから朔は毎日朝早く出勤し、夜遅めに帰ってくる。




ご飯を用意して待ってるなんて…この男の言った通りのことをしている私だけど…





本当に疲れた顔をして帰ってくるから、そのタイミングで出来立てのご飯を出してあげたい…なんて、ガラにもなく思っている自分に驚いていた。





そんな朔も、今日は久しぶりの休日らしい。



「どっか行く?」



そんな提案をしてくれた朔だけど、私は首を横に振った。




何故なら、やっとゆっくり二人で過ごせるのだから。




そんな風に思っていた。


< 19 / 147 >

この作品をシェア

pagetop