みだらな天使
私のキモチ
翌朝目覚めると、すでに朔の姿はなかった。




時計は、9時を指していた。





そりゃあ、とっくに出勤してるよね。





どうやら、行ってきますのキスのためだけに、無理やり叩き起こされたりはしないらしい。





その時、ふと気づく。




久しぶりに朝までぐっすり眠れていたことを。




毎晩のように悪夢にうなされ、まともに寝付けない私にとって…



寝坊なんてものは無縁だった。




それが、こうして朝まで眠っていられたのは、母に捨てられてから初めてかもしれない。






昨日は、朔から身体中にキスを落とされて。




いつの間にか意識を手放していた…と言った方が表現としては正しいのかもしれない。




それほどに、昨夜の私は朔に翻弄されっぱなしだった。





最後までしない、なんて言いながら、それ以外のことは何でもアリの、この男。






そのおかげで快眠だった…と言ったらシャクだから、やめておくけど。



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