【超短】夏一夜の恋。【完】
**花火の恋。
「えーっ!? みんな、行けない!?」



私、若狭奏絵──ただいま、友達にドタキャンされました。

みんな、『用事できちゃったー』『ごめん、行けなくなっちゃったー』とかメッセージ送ってきて。



ちょっとみんな、ひどくない?

普通、夏祭りを一人で行ったりしないでしょ……。



夏なのにきれいな大きな星空を見上げて、一人ため息をつく。


一人なんてつまんないし、帰ろ……。



「あ、あの」

「え?」



踵を返して帰ろうとしたその瞬間、背後から男性の声がした。

とっさのことに振り返ると、そこには背の高い茶色い髪の男の人がいた。

そして、イケメン。



「あの……?」

「もしかして、帰ろうとしてた?」

「え? なんで」

「やっぱり。俺もなんだよね。友達にドタキャンされちゃってさ」

「そ、そうなんですか」



え、もしかして、ナンパ?

って思ったけど、私と同じ状況なんだと、あと……きっと悪い人ではないと思えたら、不思議と警戒心なんてなくなった。
< 1 / 19 >

この作品をシェア

pagetop